先日、Yahoo!ニュースでこんな記事を見かけました。
インフル薬服用後 高層マンションから転落か 男子中学生が死亡 発熱で学校休む
とてもショッキングな見出し…
パッと見て『またタミフルか…』って想像した方はいませんか?
2005年頃、タミフル服用後の子どもたちが異常行動を起こしたというケースが度々報道され、間違った知識が拡がっていきました。
知っておきたい、インフルエンザのこと、薬の副作用のこと。
そして、熱せん妄のこと。(熱せん妄ってなんだ?!)
今回はこれらのことについて書いてみたいと思います🍀
インフルエンザって?
今やインフルエンザを知らない人はいないと思いますが、ちょっとした知識と配慮で家族内感染を防げたりします!ポイントを簡単に!
・潜伏期間 だいたい24時間~48時間で発症(新型インフルは7日潜伏することも!)
・症状の特徴 風邪の症状に加え、高熱・悪寒・倦怠感・関節痛や筋肉痛など全身に症状がでるのが最大の特徴
昨日、一緒に遊んでいたお友達がインフルエンザに!ってことありますよね…上記の期間内に症状が見られたら、感染を疑って早期に隔離!
逆に潜伏期間を過ぎたらひとまず安心…
※インフルエンザウィルスを持っていても、発症しないということもあります。本人は発症はしなくても感染力はあるので、別の人に移って発症させる力は持っています。
・感染ルート
飛沫感染 もっとも多い感染経路。インフルエンザウィルスに感染した人の咳やくしゃみから飛んだウィルスで感染。うがい手洗いとともに、罹っている人も、いない人もマスクの着用の徹底をすることでだいぶ軽減できます。
病院のベットは飛沫感染を防ぐために1,2m~1,5m以上離して設置するよう決められています。咳やくしゃみで飛ぶウィルスの距離がそのくらいあるからです。逆に考えれば、そのくらいの距離を保っていれば移りにくいということ。マスク着用でさらに感染を防げます!
※インフルエンザ患者と、食事の時間をずらすことも効果的です💡
空気感染 空気中に漂うインフルエンザウィルスが体内に侵入して感染。
インフルエンザウィルスは気温が低く、乾燥した環境を好みます。冬の環境がまさにコレ。冬に蔓延する理由がわかりますよね!部屋の湿度を50%以上にするだけでも、家族感染は減らせそうです!(室温20℃、湿度50%以上で急激に生存しにくい環境になるという実験結果があります)
接触感染 人が多く触るドアノブや取っ手、電車のつり革などにウィルスが付着しており、そこを触った手を介して鼻や口からウィルスが入って感染。
うがい手洗いの徹底が大事になってきます。また、インフルエンザウィルスはアルコールに弱いため、アルコール消毒は有効です!
この辺の知識を知っていれば、ある程度の感染予防はできます。
まずは、インフルエンザにならないように、
そしてなってしまったときは移さない(移らない)ように
最善の策を取ることが感染拡大を防ぎます。
インフルエンザのお薬
厚生労働省がインフルエンザの治療薬としているものは以下の6種類です。
・オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル等)A・B型両方に効く
・ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)A・B型両方に効く
・ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ)A・B型両方に効く
・ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル)A・B型両方に効く
・アマンタジン塩酸塩(商品名:シンメトレル等)A型のみに有効
・バロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ) タミフルに耐性のあるウィルスにも効く
商品名を見ると、聞いたことのあるものが多いのではないでしょうか。効果はインフルエンザの症状が出始めてからの時間や、病状によって異なります。
また、年齢によって使えるもの、使えないものが出てきます。
詳しく知りたい方は、以下 記載しておくので読んでみてください。
商品名
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処方の対象や治療法
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副作用
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タミフル | 1歳以上9歳以下・成人に処方
粉薬またはカプセル錠5日服用 |
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢 |
リレンザ | 5歳以上
1日2回を5日間吸入 |
下痢、発疹、吐き気、動悸 |
ラピアクタ | 服薬や吸入が難しい人
15分~30分の点滴でタミフル5日分と同様の効果 |
下痢、白血球減少、嘔吐、蛋白尿 |
イナビル | 吸入ができる人
1回の吸入で治療が終わる |
下痢、悪心、胃腸炎、じんましん |
シンメトレル | 耐性を持つウィルスが多く発生
現在ほとんど使用されていない |
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ゾフルーザ | 新薬につき、子どもには控える傾向
1回飲むだけで効果持続 |
下痢、頭痛、ALT・AST増加(肝臓機能) |
異常行動について
さて、本題です。
どんな薬にも様々な副作用があります。
しかし、症状を緩和するのに一番良いと思うものをお医者さんや薬剤師さんが選んでくれるわけですよね。タミフルもその1つです。
一時期、メディアが『タミフル服用後に異常行動』と大きく報じたことでタミフルに対する誤解が生まれました。結論から言うと、異常行動とタミフルの服用とは、明確に因果関係があるという根拠はない、というのが厚生労働省の医薬品安全対策調査委員会の判断です。(なお、安全性調査は継続して実施されているとのこと)
大きな理由の1つとして、タミフルを服用しているかどうかに関わらず、インフルエンザに罹患した人が一定の割合で異常行動を起こしている事例が報告されていることがあげられます。つまり、異常行動の原因はタミフルではなく、インフルエンザそのものにある可能性が高いということです。
以下厚生労働省のホームページより
<異常行動の例>
・ 突然立ち上がって部屋から出ようとする
・ 興奮して窓を開けてベランダに出て、飛び降りようとする
・ 自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない
・ 人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す
・ 変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る
インフルエンザにかかり、自宅で療養する場合は、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類によらず、少なくとも発熱から2日間は、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じて下さい。
なお、転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いことが知られています。
<転落等の事故に対する防止対策の例>
・ 玄関や全ての部屋の窓の施錠を確実に行う(内鍵、補助錠がある場合はその活用を含む)
・ ベランダに面していない部屋で寝かせる
・ 窓に格子のある部屋で寝かせる(窓に格子がある部屋がある場合)
・ できる限り1階で寝かせる(一戸建てにお住まいの場合)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
インフルエンザじゃなくても…
『熱せん妄』という言葉を聞いたことがありますか?
熱せん妄…高熱を出した時に見られる異常行動のこと。
幻覚や幻聴などが現れ、興奮状態に陥ったりする場合がある。突然、意味不明な発言をしたり、夢を見ているかのような行動をとったりするが、一時的なもので後遺症などは残りにくい。
一般的には、子どもがなりやすいとされています。体質的なものもありますが、大人に比べて発達途中の子どもの脳は、大人に比べて未熟で不安定なために起こると考えられています。
熱せん妄おもな症状7つ
幻覚
その場にないはずのものが見えたり、聞こえたりすることを指します。まるでそこにいないはずの人がいるように会話をしたりするケースがあります。
錯視
そこにあるものを見間違えたりすることをいい、例えば単なる壁のシミを人影と思い込んだりするといったことがこれにあたります。
幻視
幻覚の中で特に視覚に関係するもので、例えば何かないはずのものが見える、といったものを指します。
幻聴
幻覚の中で特に聴覚に関係するものを言い、聞こえるはずのない声が聞こえたりする場合があります。
錯乱
頭の中がごちゃごちゃになってまとまりがなくなることをいい、支離滅裂な行動をとったりします。
異常行動
その場にそぐわない行動や、普段の本人であればしないような行動をとるものをいいます。
例えば病院で釣りをするような仕草をしたり、急に建物から飛び降りようとするなどの危険行動をとったりするケースがあります。
その他
夜中に飛び起きたり、なかなか寝付かないといった場合もあります
双葉家 娘の体験談
我が家の娘は、熱が39,5℃を超えてくると必ず熱せん妄が起こるようになった時期がありました。年中(5歳)から年長(6歳)の期間だったと記憶しています。
それより前はそんなことは一度もなかったのですが、それはある日突然。
ただの風邪だったにも関わらず、かなりの高熱でぐったりして眠っていた時のこと。
目を覚ました娘が、天井の一点を見つめ、何かブツブツ言っていることに気づいて、声をかけようとした瞬間…
娘『キャーーーーーー!!』
すごい悲鳴を上げた娘。
娘『来ないでーー!!来ないでーーー!!来ないでーーーーーーーー!!』
と言って泣き叫ぶ…
もう、あまりに突然で何がなんだかわからず
双葉『しっかりして!!何?!どうしたの!?ママだよ!!わかる!!?』
と体を揺するも、目はずっと天井を見つめたまま、ただひたすらに泣き叫ぶ娘。
すると…
娘『天狗さんがいる!!怖い!!天狗さんが出てけって言ってる!!この街を出てけって!!ママ怖いー!!』
と言うのです。それでようやく、
『あ…幻覚を見てるのだな』とわかり、娘をゆっくり抱きしめて
双葉『大丈夫だよー。天狗さんなんかママ、やっつけちゃうんだから!』
と言うとようやく安心したのか体の力が抜け、
やっと私を見て抱きついてくれました。
初めてのこの経験は、ホントになんの前触れもなかったので、私自身もちょっと怖い思いをしましたが、このときの娘はインフルエンザではなかったので、落ち着いて対処ができました。もし、このとき娘がインフルエンザにかかっていたら、私も間違った知識でパニックになっていたかもしれません。
この経験が、熱せん妄や、インフルエンザによる異常行動、タミフルとの因果関係などの記事を片っ端から読むきっかけになりました。
娘はこのあとも2度ほど、高熱時に『天狗さんがーーーー!!』と泣き叫びました。
なぜか、必ず天狗さん…(^_^;)
小学校に上がってから、熱せん妄は一回も出ていません。
インフルエンザの異常行動の理由の1つとして、この熱せん妄が一定数起きていると言ってもいいと思います。ただ、注意しなければいけないのは、実際に窓から飛び降りてしまう事例があるということ。それが、タミフルや他の薬のせいではないとしても、急性期(発熱している間)は、やはり大人がそばにいてあげられる環境が望ましいと思います。
◎まとめ
今回はインフルエンザや、熱せん妄について書いてみました。
インフルエンザの治療薬に問題があるわけではない、ということがわかってもらえたでしょうか。
報道の仕方1つで、間違った知識が拡散されてしまっているケースは他にもあります。
代表的なものが子宮頸がんワクチン。
なんとなく、“子宮頸がんワクチンは怖い”“子宮頸がんワクチンは打たない方がいい”と思っている方はいませんか?そう思っている根拠ってなんでしたか?
ぜひ、報道に惑わされないで欲しいと思います。
いずれ、子宮頸がんワクチンについても書きたいと思っていますので、その時はまた読んでもらえたら嬉しいです!
それではインフルエンザに罹らないよう、気を付けてお過ごしください(o・ω・o)