乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)とは?
乳幼児突然死症候群(以後SIDSと銘記)とは
それまで元気にすくすくと育っていた子どもが
事故や窒息とは関係なく
眠っている間に突然死亡してしまう病気です。
定義としては「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群」とされています。
SIDSが起きる原因はわかっていません
SIDSについては日本だけでなく世界各国で様々な調査や研究が行われていますが
現段階でSIDSが発生する原因の解明には至っていません。
そのため、予防方法も確立していないのが現状です。
しかし
今までの発症事例や
研究結果から以下の3点に留意すれば「発症のリスクを下げることができる」とされています。
①寝かせるときには、うつ伏せにさせず仰向けに寝かせる
これまでのSIDS発症事例の統計から
SIDSはうつ伏せに寝かせた時の方が
仰向けに寝かせていたときよりも発症率が高いことが分かっています。
なるべく、子どもの顔が見える仰向けに寝かせましょう。
仰向けに寝かせることは
SIDSだけでなく
窒息や誤飲などの事故から守ることにもつながります。
②なるべく母乳で育てる
こちらについても
発症事例の統計から母乳で育てられている(育てられていた)子どもの方が
発症率が低いことがわかっています。
人工乳がSIDSを引き起こすとのデータはありません
③たばこをやめる
たばこはSIDS発生の大きな危険因子とみられています。
やはり
両親が喫煙する場合としない場合とでは
SIDSの発症率に違いがあるとのデータがあります。
また喫煙を続けることで
お子さんが中耳炎や喘息にかかりやすくなることも知られています。
その他にも
- 枕の使用はしない
- 硬めの布団に寝かせ、布団をかけすぎない
- 厚手のパジャマは避ける
などの配慮も大事です。
ポイント
これらはあくまでも1要因として考えられているものであり
例えば①のうつ伏せ寝と仰向け寝の発症率は
うつ伏せ寝が約61%に対し、仰向け寝の場合は38%というデータがあります。
また、“母乳育児とミルク育児”では度々論争がおきますが
どっちがいい
悪い
ということを言いたいわけではありません。
仰向け寝で、母乳育児で、周りの大人がたばこを吸わない環境でも、発症する可能性はゼロではないのです。
発症リスクを知ることで、「対策が立てられる!」というところに目を向けていただければと思います。
実際どのくらいの頻度で起きているの?
我が国でのSIDSの発生頻度はおよそ出生6000~7000人に1人と推定されています。
発生数は年々減少傾向にあるものの
ほぼ毎年100人を超えるお子さんがSIDSで亡くなっており
1歳未満の赤ちゃんの死亡原因としては第3位となっています。
生後2か月から6か月の赤ちゃんに多く発症しますが
1歳以上の乳幼児にも発症例は報告されており
0歳~2歳まで特に注意が必要とされています。
保育現場でも起きています
過去5年間(平成20年~平成24年)の
『保育所及び認可外保育施設事故報告書』によると
その5年間の間に保育施設で亡くなった乳幼児は59人。
そのうちの50人が睡眠中に亡くなっているといいます。
数年前から
保育現場ではお昼寝中の「寝息観察(呼吸確認)」が当たり前のように行われるようになりました。
お昼寝をしている園児すべてに10分間隔
月齢の小さい子においては5分間隔で
しっかり呼吸をして眠っているかを確認してチェックシートに記入をしていきます。
<チェックシートの一例>
この呼吸確認によって
SIDSの早期発見に努めています。
おわりに
大切な子どものいのちを突然奪ってしまう病気、SIDS。
この病気の怖さは
ついさっきまで元気だった我が子にも
いつ起こるかわからないというところにあります。
過度に心配する必要はないですが
このような病気があるということを知り
発症リスクを減らすこと(どのくらいの発症リスクがあるかを意識すること)がとても重要なことだと思います。